2019年5月20日月曜日




  21歳の青年が、そのワインを習近平氏に供するまで。


    2015 コート・ロティ
      シャトー・ド・モンリス        ¥8800(税込)

      (赤/フルボディ/ドメーヌ・クリストフ・セマスカ直詰
                    /コート・デュ・ローヌ/仏)


    シャトー・ド・モンリスは、フランス革命の頃から第一次大戦時まで、
   120余年に亘り、銘酒の評判をほしいままにしてきた畑。しかし戦争とフィ
   ロキセラ(害虫)禍により、70年間荒廃していた。その再建を、何と当時
   “素人”の21歳の青年が引き受け、生涯を通じて奮闘努力し、とうとう仏政府
    が国賓をもてなすのに用いるまでになった。習近平氏もその香味をご存じだ。
 
    その名も、焼かれた(ロティ)丘。並走する2つの河岸丘、含有成分により
   色調の異なるそれらは、ローヌの太陽によって『コート・ブロンド(金髪)』、
   『コート・ブリュヌ(褐色髪)』として比肩される、有名産地となった。
   シャトー・ド・モンリス 8ha は『ブリュヌ』の一角にあり、粘土石灰、シス
           ト、雲母が混在し、希有の資質を持つシラーを育んだ。

    クリストフ・セマスカ氏は、当初は 1ha 余りだけを対象に“週末農業”を重ね、
   独学により栽培醸造学を会得していったそうな。88年に事業を立ち上げ、2000
   年に初めてワイン商の目にとまり、その後は当のワインの品質があらゆる可能
   性と名誉を現実のものとした。

    黒いベリィやスミレの花、スパイス香。ソフトだが素晴らしく緊密で、重厚
   だが生気に富んでいる。一見背反する要素が局面に応じて次々に新しい顔を見
   せてくれる、その醍醐味たるや。
    シラーやローヌのイメージにつきまとい勝ちな荒々しさは、本品とは無縁。
                                        

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